博物館の展示品を紹介する目的で設置されているナビレンスコード、どんな風に利用できるのか体験してきました。館内の手引き・ガイドは事前に申し込めるようになっていたので、全盲ユーザー一人でも「きゅーはく」を観覧することができるのです。
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場所は福岡県の太宰府天満宮の傍。西鉄の太宰府駅から徒歩10分。
てっきり西鉄には博多駅があるのかと思っていましたが、鉄道の博多駅はJRと地下鉄だけなんですね。とりあえず西鉄のどこかの駅に行かねばなりません。いろんなルートが考えられましたが、私が選んだのは地下鉄七隈線で博多駅から薬院駅に向かい、そこで西鉄に乗り換えるルート。地下鉄の薬院駅の改札口を出るとすぐ右側にエレベーターがあり、西鉄の改札フロアに直結していました。
西鉄の駅では介助を頼みませんでしたが、ホームで待っていると駅員が駆け寄ってきてくれて、下車駅に連絡を入れておきますよというご対応。いざ太宰府駅に到着すると、なぜだかスロープの板をもって駅員が待ち構えてくれていました。これって車いすの人向けの対応なんじゃないの??と思いつつ、せっかくなのでスロープの上を白杖でトントンしながら渡らせていただきました。
さて、太宰府駅から博物館までのアクセスは事前にPerplexityで検索して調べていましたが、観光客の流れに乗っていけばなんとかなるだろう、いちおうBlindSquareアプリで目的地設定して、そのまま人の流れに身を任せることに。それにしても海外からの観光客のなんと多いことか!!皆さん大阪・関西万博には行かずに、福岡県にこんなにも観光客が集まっていたとは、びっくりでした。
参道を歩き、そろそろ博物館近くまでやってきているはず。うーん、しかし、どの道を曲がればよいのかわからないので近くの人に訪ねてみると
「私も観光客なのでわからないですねぇ」
というお答え。そうそう、観光地だとこういうことはよくありますね。
結局、親切な男性が博物館のエントランスまで案内してくれました。その人も観光で訪れた方だったのですけど…
実は博物館の入口からエントランスまでは長ーい通路になっています。エスカレーターを上り、動く歩道を2回乗り換え、そのまま通路を歩いた先にようやく受付エリアにたどり着きました。あの親切な男性に案内してもらっていなければ、通路の先に進むことを躊躇していたかもしれません。
後から教えてもらったのですが、入口からエントランスまではナビレンスのコードが設置してあるのだそうです。一人だけでエスカレーターの場所に到着したならば、まずはナビレンスのアプリを立ち上げて回りを見回せば迷いなくエントランスまで進んでいけそうです。
待ち合わせ時間よりも早く到着したので、受付デスクの傍にあるカフェスペースで一休み。午前10時過ぎのカフェスペースにはゆったりとした時間が流れていました。
博物館の担当者とガイドボランティアの人たちと合流して向かったのは、同じく受付フロアにある体験型展示室「あじっぱ」。アジアのはらっぱという意味が込められたエリアだけあって、アジア諸国の楽器や衣装を触ることができる場所になっています。最近は触れる展示物を置いてある博物館などが増えてきていますが、あじっぱでは私が予想していた以上に多くの触れる展示物が置いてあるようで、ここだけで視覚障害者は長い時間を楽しめそうだと感じました。
さあさあ、ようやくナビレンスのカラータグが設置されている4階のフロアに上がりましょう。ここからは学芸員の人による解説を聞きながら案内してもらえました。このフロアでは触れる展示物はないのですが、言葉による説明、さらにナビレンスで読み取った詳細情報を聞きながら、頭の中で土器の色や大きさ、その用途などを想像しながら新しい知識を迎え入れることができました。
これまで私は意識していなかったのですが、ナビレンスで読み取ったタグの情報って履歴で確認できますよね。詳細情報も履歴から閲覧できるようになっているので、なんと、帰宅してからゆっくりその内容を聞くことができるるのでした。なので、現場ではじっくり読み上げ音声を聞いている暇はないよねとあきらめず、現場でナビレンスのカラータグを見つけたらとにかく読み取る。そうすることで後々までも記録として、思い出として楽しむことができるのです!!
帰宅してから気が付いたのは、現場ではイヤホンを装着せずにナビレンスの読み上げ音声をiPhone本体のスピーカーから出力させていました。周りの来場客の皆様にはご迷惑をおかけしたかもしれません。ご容赦ください。
短い滞在時間ではあったものの、きゅーはくでは濃い時間を過ごすことができました。関係者の皆様、ありがとうございました。
そして、太宰府駅前のうどんも味わって帰ることができて満足。とんこつラーメン一蘭の横にうどん屋さんがあるというのも味わい深い。